津和野の旅、二日目。
この日は、城下町の静かな時間とはまた少し違う、津和野の奥行きに触れる一日になりました。
最初に訪れたのは、永明寺。
苔むした石段を登り、古い門をくぐると、そこには思わず足を止めたくなるような景色が広がっていました。
長い時間を重ねてきた場所には、言葉にしにくい静けさがあります。
華やかではないけれど、そこに立っているだけで心が落ち着いていく。永明寺で過ごした時間は、そんな津和野らしいひとときでした。
次に向かったのは、乙女峠マリア聖堂。
山あいの町に残るキリスト教の歴史に触れると、津和野が持つ文化の深さをあらためて感じます。
神社やお寺の印象が強い町の中に、また別の祈りの場所があること。
その静かな佇まいもまた、津和野という土地の豊かさのひとつなのだと思いました。
そして、津和野駅で出会ったSL山口号。
黒い車体から立ちのぼる煙、ゆっくりとホームに入ってくる姿。
目の前に現れた瞬間、思わず子どもの頃のように心が弾みました。
古い町並みの中を、今も力強く走る蒸気機関車。
懐かしさだけではない、旅の途中で出会う小さな高揚感がありました。
町を歩いている途中で出会ったのが、酒蔵を改修して作られたホテル「若槻津和野」です。
時を守ってきた城下町の中にありながら、ここには新しい時間をゆっくり育てているような空気がありました。
古い町並みにただ寄り添うのではなく、この土地のこれからを静かに見つめているようなホテル。
津和野の歴史を大切にしながら、新しい旅の過ごし方も提案してくれる場所に出会えたことが、とても印象に残っています。
そして旅の最後は、日原天文台へ。
山の中にある天文台で見上げた空は、日常の中ではなかなか意識しないほど、遠くて大きなものでした。
城下町を歩き、祈りの場所に立ち寄り、SLを眺め、町の中で新しい時間に出会い、山の上から空を見上げる。
一つひとつはまったく違う時間なのに、どこか不思議とつながっているように感じました。
昔ながらの町並みだけではない。
静かな祈りも、懐かしい乗り物も、新しい滞在のかたちも、宇宙のように大きな景色もある。
それが、津和野。
何度訪れても、そのたびに違う表情を見せてくれる町でした。